【大学職員が語る】「赤本」がAI化?小論文対策が変わる『赤本AI』への期待

目次

はじめに

年明けの一般選抜入試に向けて、「赤本(教学社)」を使って過去問の対策をしている方も多いのではないでしょうか?

さて、そんな受験の象徴とも言える赤本が、今回最新の生成AI技術と連携するという発表がありました。

今回は、2025年11月から実証実験が始まる『赤本AI』について、大学の入試の部署で働く職員の視点で、その特徴と活用への期待について解説します。

ニュースの概要:『赤本AI』とは?

『赤本AI』は、赤本の出版社である「株式会社世界思想社教学社」と、教育現場でのAI活用を推進する「株式会社みんがく」が共同開発しているサービスです。

2026年春の正式リリースを目指し、まずは一部の高校や塾で実証実験がスタートします。

このサービス最大の特徴は、多くの受験生が苦戦する「小論文」の学習支援に特化している点です。

[参考記事] プレスリリース

株式会社世界思想社教学社:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000006170.html

『赤本AI』に注目する3つの理由


『赤本AI』は単なる「便利な添削ツール」というだけでなく、大学入試の準備プロセスや、入学後の学びに良い変化をもたらすと期待しています。特に以下の3点は、受験生の皆さんや先生方にとって大きなメリットになるはずです。

1. 「書いては直す」試行錯誤のサイクルが高速化する

近年、総合型選抜や推薦型入試の受験者数が増加し、小論文やエントリー書類で文量のある問いを課す大学が増えています。しかし、「自分の考えを論理的に文章にする」という経験があまり無く、苦労をしている方も多いようです。

これまでの小論文対策は、「先生に提出し、添削が返ってくるまで数日待つ」というタイムラグが課題でした。

高校や塾の先生も人数が限られているので、他の業務をしながら添削をするには限界があります。

しかし、『赤本AI』を使えば、書いてすぐ、その場でフィードバックが得られます。

「指摘を受けてすぐに修正し、またAIに見てもらう」ということで短時間に集中して取り組むことができますよね。

2. 地方や独学の受験生にとって「心強い壁打ち相手」になる

大学説明会やオープンキャンパスでなどで受験生の話を聞くと、「小論文指導を受けられる環境が近くにない」「先生が多忙で、何度も添削をお願いするのは気が引ける」という悩みを聞くことがあります。

書店で手に入る身近な「赤本」がAI化することで、個々の環境や地理的な条件に関わらず、いつでも質の高い一次添削が受けられるようになります。

「まずはAI相手に構成を固めて、仕上げを先生に見てもらう」という使い方ができれば、独学の受験生にとっても大きな支えになるはずです。

3. 先生の指導が「より本質的」になる

「AIが普及すると、先生の指導は不要になるのでは?」との懸念も出てきそうですが、

私はそうは思いません。むしろ、先生の役割はより重要になるのではないでしょうか。

誤字脱字のチェックや、基本的な論理構成の指摘をAIが担ってくれれば、先生は「その生徒の経験を踏まえた内容の深掘り」や「志望大学のアドミッション・ポリシーとの整合性」といった、人間にしかできない本質的な指導に時間を割くことができます。

結果として、内容の部分によりフォーカスして指導ができるため、より納得感のある志望理由書や小論文が完成するはずです。

受験生の方へ:AIを「使いこなす」意識を持とう

入試の部署で働く大学職員である私の考えとして、これから受験を迎える皆さんに伝えたいのは「AIは優秀なコーチですが、プレーヤーはあくまであなた自身」だということです。

実際に公開されてみないと、どのぐらいの精度で添削ができるのかは分かりませんが、

おそらくこのツールを使えば、表面上の整った文章は作れるようになるでしょう。しかし、大学側が小論文で見たいのは、きれいなだけの文章ではありません。

「あなたが社会をどう捉え、どう考え、自分の言葉でどう表現するか」という意欲と視点です。

AIからの指摘をすべて鵜呑みにするのではなく、「なぜAIはこの指摘をしたのか?」「自分の意図を伝えるにはどう書き直すべきか?」を最終的には自分で考えながらうまく活用してみてください。そのプロセスこそが、合格への近道となり、入学後のレポート作成などでも活きる力になります。

まとめ

「伝統の赤本」と「最新のAI」。この組み合わせは、大学入試が単なる知識の暗記から、思考力や表現力を問うものへと変化している現状を象徴しています。

大学側もAIを活用して効率的に、かつ深く学んできた皆さんの能力を正しく評価できるよう、入試のあり方を常にアップデートしていく必要があります。2026年春の正式リリースにより、学習環境がどう進化していくのか、AI活用を推進する大学職員として今から注視していきます。

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この記事を書いた人

20代後半・二児の父。文系の4年生大学を卒業後、民間企業を経て、都内の総合大学で事務職員として勤務中。AIを使用した業務効率化や実生活での活用について発信。事務職員(非エンジニア)目線で誰にでも再現できる活用法の発信を心がけていきます。

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