【2026年版】スマートグラスによる入試不正とは?発覚した事例と大学の対策を解説

大学入試会場でスマートグラスを確認する試験監督のイメージ

スマートグラスは、カメラや通信、音声などの機能を備えた眼鏡型の端末です。一般的な眼鏡に近い形の製品もあり、外見だけで判断することは簡単ではありません。

2024年には、国内の大学入試でスマートグラスを使って試験問題を撮影し、外部へ送信した不正が発覚しました。

この記事では、実際に起きた事例と発覚した理由を分けて確認し、大学や試験実施機関が準備しておきたい対策を整理します。

本記事は、不正の方法を紹介するものではありません。公平な試験運営に向けて、大学職員や試験監督者が確認すべき点をまとめています。

目次

スマートグラスとは

スマートグラスは、眼鏡型のウェアラブル端末の総称です。製品によって搭載されている機能は異なりますが、次のような機能を持つものがあります。

  • 写真や動画を撮影する
  • スマートフォンやインターネットと通信する
  • マイクやスピーカーを使って音声を送受信する
  • レンズや視界内に情報を表示する

すべてのスマートグラスにカメラや表示機能が搭載されているわけではありません。また、フレームの太さや小さな穴といった外見的な特徴だけで、通常の眼鏡と確実に見分けられるものでもありません。

試験運営では、特定の製品を見分けることよりも、使用できない機器を受験案内で明確にし、確認手順を統一しておくことが重要です。

2024年の大学入試で起きたスマートグラス不正

2024年2月、早稲田大学の一般選抜で、受験生がスマートグラスを使って試験問題を撮影し、外部へ送信したとされる事案が発生しました。

文部科学省の会見録でも、スマートグラスを用いて試験問題の画像を流出させた疑いで、受験生が書類送検された事案として説明されています。

不正はなぜ発覚したのか

この事例で重要なのは、試験監督者が外見だけでスマートグラスを見破ったことが、最初の発覚理由ではなかった点です。

当時の報道によると、外部で回答を求められた人物が不正に気付き、大学へ情報を提供したことで発覚しました。

つまり、事例から読み取れるのは「フレームを注意深く見れば発見できる」という単純な教訓ではありません。

  • 試験問題が外部へ送信される可能性がある
  • 外部の協力者やSNSを含む形で不正が行われる場合がある
  • 監督者の目視だけでは、不正を未然に防げないことがある
  • 発覚後の調査、記録、関係機関との連携も必要になる

入室時の確認だけに頼らず、持込規程、事前周知、試験中の巡視、発覚後の対応まで含めて考える必要があります。

TOEICで発覚した不正受験から確認できること

2025年には、TOEIC公開テストでも組織的な不正受験が問題になりました。

大学入試とは異なる試験ですが、試験実施団体のIIBCは、調査後に該当者のスコア無効化を行い、次のような再発防止策を導入しています。

  • 会場でのポスター掲示
  • 試験開始前の注意喚起
  • 電子機器の電源が切られていることの確認
  • 眼鏡に通信機能がないことの確認
  • 不正が疑われる場合の警察への相談・通報

これらは、IIBCの公式発表で案内されています。この事例から参考にできるのは、不正に使用された機器の細かな方法ではなく、禁止事項を明示し、確認手順と発覚後の対応を事前に決めておくことです。

大学が試験前に準備したい対策

受験案内と試験実施要領を見直す

「電子機器の使用禁止」だけでは、受験生や監督者がスマートグラスを対象に含むのか判断しにくい場合があります。

大学入学共通テストの受験上の注意では、スマートウォッチやスマートグラスなどのウェアラブル端末が、使用できない電子機器類として明記されています。

大学の個別試験でも、必要に応じて次の機器を具体的に記載します。

  • スマートグラスやAIグラス
  • スマートウォッチ
  • イヤホンや音声機器
  • カメラ・録音・通信機能を持つウェアラブル端末

禁止対象だけでなく、試験室へ持ち込んだ場合の保管方法や、監督者から確認を求められた場合の対応も示しておくと、当日の混乱を減らせます。

監督者の対応を統一する

監督者によって判断が異なると、同じ機器でも試験室ごとに対応が変わる可能性があります。

事前説明では、次の項目を共有しておきます。

  • 使用できない電子機器の範囲
  • 試験開始前に確認する内容
  • 不審な機器や行動を確認した場合の連絡先
  • 試験本部へ報告する基準
  • 事実を記録する方法
  • 複数名で対応する場面
  • 受験上の配慮が認められている場合の確認方法

監督者個人に機器の判定を任せるのではなく、判断に迷った場合に試験本部へ確認できる流れを作ります。

受験生への周知を行う

受験案内に記載するだけでなく、会場掲示や試験開始前のアナウンスでも禁止事項を伝えます。

特に、時計や眼鏡として販売されている製品であっても、通信・撮影・録音・表示などの機能がある場合は使用できないことを、わかりやすく伝える必要があります。

試験当日に確認したいこと

入室時・試験開始前

  • 使用できない電子機器をかばんへ収納しているか確認する
  • 電子機器の電源を切るよう案内する
  • 机上に置ける物を改めて周知する
  • 判断に迷う機器がある場合は、試験本部へ連絡する
  • 受験上の配慮として許可された機器があるか確認する

試験中

  • 特定の受験生だけを外見で判断しない
  • 撮影、通信、録音などが疑われる具体的な行動を確認する
  • 不審な状況は時刻や行動を客観的に記録する
  • 監督者一人で不正と断定しない
  • 必要に応じて試験本部へ連絡し、複数名で対応する

視線や姿勢が不自然に見えるだけで、不正と判断することはできません。緊張、障害、体調など別の理由も考えられるため、推測ではなく確認できた事実を記録します。

不正が疑われる場合の対応

実際に不審な機器や行動を確認した場合は、あらかじめ定めた試験実施要領に従います。

一般的には、次の流れを準備しておくと対応しやすくなります。

  1. 確認した時刻と状況を記録する
  2. 試験本部へ連絡する
  3. 複数名で状況を確認する
  4. 受験生や周囲の受験生への影響を抑える
  5. 機器や答案の扱いを試験実施要領に基づいて判断する
  6. 対応内容と関係者を記録する
  7. 必要に応じて学内の責任者や関係機関へ報告する

その場で監督者が機器を操作したり、個人の判断でデータを確認したりする対応は避け、大学の規程と責任者の指示に従います。

合理的配慮と不正対策を混同しない

受験生によっては、補聴器や視覚支援機器などを使用するため、事前に受験上の配慮を申請している場合があります。

不正対策を理由に、必要な支援機器の利用を一律に制限することは適切ではありません。

  • 配慮申請の情報を試験本部と監督者が適切に共有する
  • 許可された機器と禁止されている機器を区別する
  • 外見だけで不正と決めつけない
  • 他の受験生に配慮内容が伝わらないよう注意する

公平な試験運営には、不正を防ぐことと、必要な配慮を受けられる環境を両立させる視点が必要です。

試験運営側の確認チェックリスト

  • 受験案内にスマートグラスなどのウェアラブル端末を記載した
  • 禁止機器の保管方法を明記した
  • 会場掲示と事前アナウンスを準備した
  • 監督者向け資料へ実際の機器例を掲載した
  • 判断に迷った場合の連絡先を決めた
  • 不審な状況を記録する様式を準備した
  • 複数名で対応する手順を決めた
  • 受験上の配慮を認めた機器の情報を共有した
  • 発覚後の報告先と記録の保存方法を確認した

まとめ

スマートグラスを使った入試不正は、すでに国内で発生しています。しかし、通常の眼鏡との外見上の違いを探すだけでは、十分な対策になりません。

大学側に求められるのは、特定の機器を見破る技術よりも、次の準備です。

  • 禁止する機器を受験案内に明記する
  • 受験生への周知を複数の方法で行う
  • 監督者の確認手順を統一する
  • 疑わしい場合は複数名で客観的に対応する
  • 合理的配慮を受ける受験生と不正対策を混同しない

機器や不正の方法は変化します。毎年度、受験案内、監督者向け資料、当日の対応手順を見直すことが、継続的な不正対策につながります。

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この記事を書いた人

20代後半・二児の父。文系の4年生大学を卒業後、民間企業を経て、都内の総合大学で事務職員として勤務中。AIを使用した業務効率化や実生活での活用について発信。事務職員(非エンジニア)目線で誰にでも再現できる活用法の発信を心がけていきます。

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