はじめに
いよいよ大学入学共通テスト、一般選抜が近づいてきて大学関係者の皆さんは入試の準備が本格化している時期ではないでしょうか。 もちろん私もそのうちの一人ですが、、、
入試において「不正行為の防止」は大学関係者が最も気をつけることの一つに挙げられるのではないでしょうか。
特に共通テストにおいては事前の打ち合わせや要綱等に机上において良いものダメなもの、身につけていて良いもの悪いもの等が細かく指示されており、監督者・関係者はしっかりと頭に入れておく必要がありますよね。
さて、ここ数年のAIやテクノロジーの進化で、不正行為の方法もより高度化し大学側も様々な対応に追われています。例えばイヤホンやスマートフォンを使用した不正行為は近年非常に増えていますが、試験中にスマホを操作している、イヤホンを付けている時点で不正行為となるのは明白です。しかし、「スマートグラス」はどうでしょう。多くの受験生がメガネをかけており、種類も様々です。昨年度入試の時期と比較し、さらにスマートグラスは進化を遂げています。今回は、入試における不正行為防止の観点から、最新のスマートグラスについて共有したいと思います。
この記事は、決してスマートグラスというテクノロジー自体を否定するものではありません。むしろ、技術の進歩は素晴らしいものです。しかし、あまりにも自然で高性能な製品が登場している現在、私たち大学教職員がその存在を知っておくことは、公平な入試を実施するために不可欠です。
今回は、Even Realities社の製品を例に挙げながら、現場で気をつけておきたいポイントをまとめました。
当ブログは現役大学職員の私が、AIツール(Gemini, ChatGPTなど)を活用し、大学事務の業務改善をするためのAI活用ブログです。私自身、文系大学卒の非エンジニアの事務職員なので、専門用語は避けて読者の皆さんが分かりやすく、すぐ使える情報をお届けできるよう心がけています。
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もはや「普通のメガネ」と見分けがつかない時代
「スマートグラス」と聞いて、どのような形状を思い浮かべますか? かつてのGoogle Glassのように、カメラがついていたり、フレームが分厚かったりといったデバイスを想像される方も多いかもしれません。
昨年度入試でも有名大学でスマートグラスを使用した事例が発生しましたが、当時使用されていたものは両サイドにカメラがついており、注意深く見ればスマートグラスということに気づく余地もありました。(もちろん非常に多くの受験生がいる中での事例なので見抜くことは簡単ではありません)
参考記事:早大入試SNS流出、シャッター音鳴らないよう「スマートグラス」細工…片ひじついて考える姿勢で撮影か
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240516-OYT1T50161/
しかし、現在販売されている最新のスマートグラスは、デザイン性・薄さ・軽さにおいて、普通のメガネとほとんど見分けがつかないレベルに進化しています。
最新のスマートグラスの特徴と機能
具体例として、現在注目されている「Even Realities G2」という製品の機能を見てみましょう。公式サイトの情報をもとに、いくつかの機能をピックアップしました。カメラがついていないこともあり、少し見ただけでは普通のメガネとの見分けはつきません。実際に本製品を元に入試で利用が想定されるケースを見ていきます。

1. テレプロンプター
AIが生成した文章や、事前に用意したメモを、レンズ上に浮かび上がらせて読む機能です。 この最新スマートグラスでは多くの文字を鮮明に表示できるようになっており、事前に用意した公式や単語集などをレンズに写すことで不正行為を行う可能性があります。( ※通信機能やAI連携を使えば、問題を外部に送って解答を受信することも、技術的には不可能ではありません) また、着用者の視界には文字がはっきり見えますが、対面している人(面接官や試験監督)からは、レンズには何も映っていないように見えます。
2. Conversate(会話補足AI)
対面している相手の話の内容をAIが聞き取り、専門用語や人名などの補足情報をリアルタイムでレンズに表示します。 本機能を利用し面接試験などの際に不正行為を行う可能性があります。 知識がなくても、AIのサポートを受けながら高度な会話が成立してしまう可能性があります。
3. インスタント翻訳
相手の話す言葉をリアルタイムで翻訳し、字幕として表示します。入試の英語のリスニングテストや、英検やTOEIC®️といった語学試験での利用が懸念されます。英語の外部試験を加点対象としたり、事前にスコアを提出することで英語の試験を免除するという大学も増えてきており、不正行為に利用された場合の影響は非常に大きいです。
【補足】スマートリングによる操作
本商品では付属品として、スマートリングがあり手元の指輪を少し触るだけで、画面のスクロールや機能の切り替えが可能となっています。これまではスマートフォンで操作をしたり、メガネ自体を触ることで操作をするタイプが多く、不自然な動作を見つけやすかったのですが、手元のリングで操作をしている場合、その行為を見つけることは容易ではありません。
実際に入試で起きた事例
ここで少し私の大学での経験をお話しします。 今年度実施したある入試の面接試験での出来事です。
担当の面接官によると、質問をしている間、そして受験生が答えている間、まるで空中に浮かんでいる文字を追って読んでいるかのように、眼球が細かく左右に動いていた。との指摘があったのです。
また、入学願書の写真は短髪でしたが、試験当日は髪が伸びており、耳が完全に隠れるヘアスタイルでした。もし骨伝導スピーカーや、テンプル(つる)部分のタッチ操作を行っていたとしても、髪で隠れて見えなかったでしょう。
もちろん、実際に私がそのデバイスを確認したわけではありませんし、単なる癖だった可能性もあります。確証はありませんが、「最新技術を使えば、不正ができてしまう環境」は既に整っているのだと実感した出来事でした。
まとめ
ここまで進化したデバイスが登場すると、不正を完全に防止することは非常に難しいのが現実です。 しかし、「こういうデバイスが存在する」ということを知っているだけで、対応の質は変わります。
具体的なチェックポイント
- 不自然な視線の動きはないか
→グラスに写った文字を追っているような不自然な動きになっていないか - リングなどを着用していないか
→スマートリングなどでの操作防止のため、装飾品は外させる等の対応が必要かもしれません - 手元で不自然な動きはないか
→スマートリングやスマートフォンその他関連機器を操作している可能性 - メガネの見た目では判断しない
→見た目は普通のメガネとほぼ同じ可能性あり、見た目だけで安全と判断しない
私たち大学関係者が最新の動向にアンテナを張っておくことが、公平な入試を守るための第一歩になります。今後も最新の情報があれば発信していきます。入試シーズン、寒さも厳しくなりますが、体調に気をつけて乗り切っていきましょう。


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