はじめに
2026年現在、多くの大学が生成AIに関する利用ガイドラインを策定し、その活用は本格的なフェーズに入りつつあります。しかし、方針を示すだけでなく、実際に具体的なツールやシステムを開発・導入し、教育や大学運営の現場を大きく変革している大学は、まだ限られています。
「うちの大学、AIの導入が全然進まない…」
「他の大学ではAIをどうやって使っているんだろう?」
そんな疑問を持つ大学関係者の方も多いはずです。
私は現役の大学職員として、AI活用の情報を日々収集しています。そこで気づいたのは、AIをうまく使っている大学には、規模や偏差値に関係なく共通のパターンがあるということです。
この記事では、実際にAI導入が進んでいる日本の大学10校の取り組みを紹介します。
なお、本記事は大学を順位付けするランキングではありません。公開情報をもとに、教育・研究・大学運営などの現場でAI活用に特徴的な取り組みを行っている大学を、現役大学職員の視点で整理したものです。
「なぜその大学がうまくいっているのか」という視点で読むと、自分の職場でのAI活用にも直接応用できるヒントが見えてきます。
当ブログは現役大学職員の私が、AIツール(Gemini, ChatGPTなど)を活用し、事務業務改善をするためのAI活用ブログです。私自身、文系大学卒の非エンジニアの事務職員なので、専門用語は避けて読者の皆さんが分かりやすく、すぐ使える情報をお届けできるよう心がけています。
プロフィールの詳細は、以下をご覧ください。
AI活用が進む日本の大学10校
ここでは、生成AIやAI関連システムを教育・研究・大学運営に実践的に取り入れている大学の事例を紹介します。
東北大学:AIによる業務の自働化と内製開発

全国に先駆けて大学業務へChatGPTを本格導入した東北大学。特筆すべきは、会議の音声を自動で文字起こし・要約するアプリを職員が内製開発した点です。単に外部ツールを使うだけでなく、現場のニーズに合わせて自ら開発する姿勢は、大学業務におけるAI活用の先進事例と言えるでしょう。
出典:https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/05/press20230518-04-chatgpt.html
立命館大学:学生の学びを導く「探究型AIコンシェルジュ」

立命館大学とPKSHAは共同研究・実証実験を進め、「探究型AIコンシェルジュ」を開発しました。学生の興味や関心に応じて履修科目などを提案し、自分の学びを考えることを支援する仕組みです。
出典:https://www.pkshatech.com/news/20240301/
近畿大学:学内情報に特化した法人業務AIプラットフォーム

近畿大学は2024年1月、職員の業務効率化を目的に「Graffer AI Studio」の試験導入を開始しました。学内のWord・PDFなどを取り込んだ情報検索や文章生成、一括処理などを、経営企画・広報・教務などの業務で検証しています。
出典:近畿大学公式発表
筑波大学:AI活用教育システムの研究開発拠点

筑波大学は人工知能科学センター(C-AIR)を設置し、「人を支援するAI」を中心に、機械学習、ビッグデータ、クラウド、プライバシー保護などの研究を進めています。学際的な研究拠点として、基盤技術から実用・産業展開までを対象にしています。
東洋大学:AI-MOPの全学展開

東洋大学では、INIADで開発・導入してきたAI管理運用プラットフォーム「AI-MOP」を全学へ展開する方針を示し、2024年11月に全教職員対象の研修を実施しました。Slackから複数の生成AIを利用し、学内情報に基づく回答もできる環境として、大学業務の効率化を進めています。
出典:東洋大学公式発表
九州大学:キャンパス内を走るAIオンデマンドバス

広大なキャンパス内の移動という物理的な課題を解決するため、AI活用オンデマンドバス「aimo(アイモ)」を導入。利用者がアプリで予約するとAIが最適なルートを計算して運行するこのシステムは、スマートキャンパスの事例としても注目できます。
出典:https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/topics/view/1486/
武蔵野大学:24時間対応の生成AI搭載ICTヘルプデスク

武蔵野大学は、24時間365日対応のICTヘルプデスク用チャットボットを、2026年にNotebookLMベースへ刷新しました。公式マニュアルや学内資料を基に回答することで、学生が必要な情報へアクセスしやすくし、回答の正確性と一貫性を高める取り組みです。
出典:武蔵野大学プレスリリース
芝浦工業大学:Notionで教職員の業務情報を一元化

芝浦工業大学は2024年4月から工学部でNotionを先行導入し、現在は全学部の専任教職員約700名を中心に利用しています。業務依頼、申請・手続き、会議連絡などを一元化し、教育・研究時間を確保するための業務DXを進めています。生成AIそのものの導入事例ではありませんが、AI活用の前提となる情報整理・ナレッジ共有の事例として参考になります。
出典:芝浦工業大学公式発表
大阪大学:「Knowledge Stack」の導入

大阪大学は2024年5月、全学の事務部門約1,600名を対象に「Knowledge Stack」の本格導入を開始しました。安全性に配慮した専用環境で、事務文書の英語化、議事録作成、資料要約、企画立案などを支援し、事務業務の効率化・高度化を進めています。
出典:大阪大学公式発表
デジタルハリウッド大学:学生の作品を評価・指導する「AIチューター」

クリエイティブ教育の最先端を走るデジタルハリウッド大学では、学生が制作したCG作品などに対し、AIが評価や改善点をフィードバックする「AIチューター」を共同開発。教員の指導にAIの多角的な視点を加え、学生のスキルアップを支援しています。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000109048.html
先進大学の事例から見えてくる「使えるAI活用」の共通点
今回ご紹介した10校の公開情報を整理すると、複数の事例に共通する傾向が見えてきます。
- 小さく始めて、使えたら広げる:試験導入や特定部署・特定業務から始め、成果を確認しながら対象を広げている事例がある
- 情報セキュリティを整える:専用環境や認証、利用ルールを用意して学生・教職員へ展開している事例がある
- 現場の課題を出発点にしている:議事録、問い合わせ対応、資料整理など、具体的な困りごとを対象にしている
- AI単体ではなく、業務改善や学修支援とセットで考えている:AIを導入すること自体ではなく、課題解決の手段として活用している
これらは、大規模な予算や専門部署がなくても、一人の事務職員が「今日から始められる」ことでもあります。
まずは自分の業務の中で「これAIに任せられないかな?」と考え、所属組織のルールに沿って小さく試すことが、現実的な第一歩です。
大学職員がAI活用を始めるなら、まず何から試すべきか
AI活用というと大きなシステム導入をイメージしがちですが、個人の業務改善から始めることもできます。たとえば、メール文面の作成、議事録の要約、Excel作業の補助、PDF資料の確認などは、事務職でもすぐに試しやすい活用例です。
特に大学職員の場合は、個人情報や未公開情報を扱う場面も多いため、まずは所属組織のルールを確認したうえで、安全な範囲から始めることが大切です。
👉 実際にAIを業務で使ってみたい方はこちら
大学職員・事務職が実際にAIを使う方法については、以下の記事で詳しく解説しています。




