「AIで書いた志望動機」は見抜けるか?現役大学職員が教える出願書類のリアル

目次

はじめに

総合型選抜や学校推薦型選抜では、志望理由書、自己推薦書、活動報告書などの提出を求められることがあります。「何を書けばよいか分からない」「生成AIに手伝ってもらってよいのか」と迷う受験生もいるでしょう。

最初に押さえたいのは、AIを使ったことが見抜かれるかどうかではなく、志望先が定めるルールを守ることです。文章の特徴やAI検出ツールだけで、生成AIの利用を確実に判定することはできません。一方、大学・学部・選抜方式によっては、出願書類への生成AI利用を禁止したり、利用方法の明示を求めたりしています。

この記事では、大学職員の立場から、AI検出の限界と、出願書類を作る前に確認すべきことを整理します。

当ブログは現役大学職員の私が、AIツール(Gemini, ChatGPTなど)を活用し、事務業務改善をするためのAI活用ブログです。私自身、文系大学卒の非エンジニアの事務職員なので、専門用語は避けて読者の皆さんが分かりやすく、すぐ使える情報をお届けできるよう心がけています。
プロフィールの詳細は、以下をご覧ください。

先に募集要項を確認してください。
出願書類で生成AIを利用できる範囲は、大学・学部・選抜方式によって異なります。禁止されている場合は、アイデア出し、構成作成、添削を含めて利用しません。判断できない場合は、出願前に大学の入試窓口へ確認してください。

AIで書いた志望動機を確実に見抜けるとは限らない

生成AIが作った文章には、一般的な表現が多く、本人の経験が具体的に書かれていないことがあります。ただし、文章が整っている、表現が似ている、具体性が乏しいといった特徴だけで、AIを使ったと断定することはできません。

大切なのは、提出された文章が、受験生本人の経験や考えを具体的に示しているかという点です。AIの利用とは関係なく、誰にでも当てはまる内容では、志望理由として十分に伝わらない可能性があります。

AI検出ツールは判定の補助にすぎない

Turnitinなどには、文章が生成AIによって作られた可能性を示す機能があります。しかし、Turnitin自身も、人が書いた文章やAIが作った文章を誤って判定する場合があるため、結果を学生への不利益な判断の唯一の根拠にしてはならないと案内しています。

また、AI文章の可能性を示す割合は、他の文献との一致を調べる類似度スコアとは別の指標です。AI検出結果だけで不正を確定することはできず、大学の規程、本人への確認、ほかの評価資料などを含めて判断する必要があります。詳しくはTurnitinの公式ガイドをご確認ください。

面接では提出内容を自分の言葉で説明する

面接を伴う選抜では、提出した志望理由書をもとに、経験や志望動機を詳しく尋ねられることがあります。

  • なぜ、その学部や学科を志望したのか
  • 高校時代の経験から何を学んだのか
  • 入学後に何を学び、将来どう生かしたいのか

提出書類と面接での説明が一致しなければ、内容の理解や本人性について確認される可能性があります。出願書類は、面接で具体的に説明できる自分自身の経験と考えに基づいて作成してください。

出願書類で生成AIを使う前に確認すること

文部科学省は、志望理由書や活動報告書など本人が記載する資料について、各大学が生成AIの取扱いを募集要項などに示す方法を挙げています。実際の方針は一律ではありません。

  1. 志望先の最新の募集要項・入試要項を確認する
  2. 大学、学部、選抜方式ごとの生成AI利用方針を確認する
  3. 禁止・許可・利用方法の明示など、条件を正確に読む
  4. 記載がなく判断できない場合は、大学の入試窓口へ確認する

たとえば、日本大学は、特段の指示がない限り入学者選抜での生成AI利用を認めない方針を示しています。一方、武蔵野大学のように、学科や課題ごとに禁止または利用方法の明示など異なる条件を設けている例もあります。前年の情報ではなく、出願する年度の要項を確認してください。

国の考え方については、文部科学省「大学入学者選抜における生成AIの取扱いについて」も参考になります。

補助利用が認められている場合の使い方

ここからの方法は、志望先のルールで生成AIの補助利用が認められている場合に限ります。禁止されている場合は利用しないでください。

活用法① 自分の経験を整理する質問を作る

AIに志望理由を書かせるのではなく、自分で考えるための質問を作る使い方です。

看護師を目指した理由を自分で整理するための質問を10個作ってください。回答文は作成しないでください。

質問への答えは自分で考え、実際の経験に基づいてメモします。

活用法② 構成を確認する

構成案の作成が認められている場合は、必要な要素が抜けていないかを確認する補助として使えます。

志望理由書に含める要素を、一般的な順序で箇条書きにしてください。本文は作成しないでください。

大学固有の評価基準や設問がある場合は、募集要項の指示を優先します。

活用法③ 自分で書いた文章を確認する

文章校正などの補助利用が認められている場合に限り、自分で作成した文章の誤字脱字や読みにくい箇所を確認できます。「何割を自分で書けばよい」という共通基準はありません。

以下の文章について、誤字脱字と意味が伝わりにくい箇所だけを指摘してください。文章の書き換えはしないでください。

AIの指摘をそのまま採用せず、内容と表現が自分の考えを正確に表しているかを本人が確認します。また、氏名、住所、在籍校、成績、活動歴など、不要な個人情報を入力しないでください。

志望先の公開情報を整理する場合

旧称NotebookLMの「Gemini Notebook」は、登録した資料をもとに質問や要約を行えるため、大学が公開している入試要項や学部案内を整理する用途には使えます。

ただし、資料をもとにした回答でも、誤りや読み落としが含まれる可能性があります。出願資格、提出書類、締切などの重要事項は、回答内の引用と大学の公式資料を照合してください。

氏名、住所、在籍校、成績、活動歴、志望理由書の下書きなどの個人情報は安易にアップロードしません。また、出願書類作成へのAI利用が禁止されている場合は、その範囲でGemini Notebookも利用しないでください。

Gemini Notebookの基本的な使い方と注意点は、以下の記事で解説しています。

まとめ

AIで書いた志望動機を、文章や検出ツールだけから確実に見抜けるとは限りません。しかし、見抜かれるかどうかは利用を決める基準にはなりません。

  • 志望先の最新の募集要項と生成AI利用方針を確認する
  • 禁止されている場合は、アイデア出しや添削を含めて利用しない
  • 利用が認められていても、本人の経験と考えに基づいて作成する
  • 提出内容を面接で自分の言葉で説明できるようにする
  • 個人情報をAIへ安易に入力しない

出願書類は、大学が受験生本人の考えや経験を確認するための資料です。AIに代筆させるのではなく、志望先のルールを守りながら、自分自身の言葉で作成してください。

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この記事を書いた人

20代後半・二児の父。文系の4年生大学を卒業後、民間企業を経て、都内の総合大学で事務職員として勤務中。AIを使用した業務効率化や実生活での活用について発信。事務職員(非エンジニア)目線で誰にでも再現できる活用法の発信を心がけていきます。

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