この記事でわかること
- ✅ アンケートの自由記述をAIで分析する具体的な手順
- ✅ 感情分類・キーワード抽出・課題整理を効率化する方法
- ✅ AIに貼り付ける前に必ず確認したい個人情報・機密情報の注意点
- ✅ そのままコピーして使えるプロンプト例
- ✅ AI分析結果を報告書・改善策につなげるコツ
「アンケートを集計したけど、自由記述が多すぎて読み切れない…」
「ざっと見て“なんとなくの傾向”で報告するしかなかった」
大学の事務職員として学生・保護者・参加者へのアンケートをとる機会は多いですが、自由記述の分析は特に時間がかかります。選択式の設問の集計はExcelでできても、テキストの分析はどうしても手作業になりがちです。
でも実は、AIを使えば、自由記述を読む・分類する・課題を整理する作業を大幅に短縮できます。
少量の自由記述であれば、ChatGPTやGeminiの無料版でも試すことができます。ただし、回答件数が多い場合やファイルを使って分析したい場合は、有料プランや職場で認められたAI環境の方が扱いやすいこともあります。
本記事では、アンケートの自由記述をAIで分析する具体的な手順と、そのままコピーして使えるプロンプト例を紹介します。あわせて、個人情報や機密情報をAIに入力しないための注意点も整理します。
当ブログは現役大学職員の私が、AIツール(Gemini, ChatGPTなど)を活用し、事務業務改善をするためのAI活用ブログです。私自身、文系大学卒の非エンジニアの事務職員なので、専門用語は避けて読者の皆さんが分かりやすく、すぐ使える情報をお届けできるよう心がけています。
プロフィールの詳細は、以下をご覧ください。
なぜ自由記述の手作業分析は限界なのか
自由記述の分析を手作業で行うと、主に3つの問題が起きます。
① 時間がかかりすぎる
100件の回答を読むだけでも時間がかかります。数百件、数千件になれば、内容を読み込み、分類し、報告書にまとめるだけで大きな負担になります。
② 分類がブレる
「この回答はネガティブか中立か」「どのカテゴリに入れるか」は担当者の主観によってブレが生じます。同じデータでも、担当者が変わると分類結果が変わることがあります。
③ 重要な意見を見落とす
件数が少なくても緊急性の高い意見や、組織として対応すべき提案を見逃してしまうリスクがあります。結果として「印象に残った意見だけが報告書に載る」という状態になりがちです。
AIを使うと、自由記述を一定の基準で分類し、頻出キーワードや改善課題を整理しやすくなります。ただし、AIはあくまで分析の補助です。最終判断は必ず人が確認する必要があります。
AIに貼り付ける前に必ず確認したいこと
アンケート自由記述をAIで分析する前に、最も注意したいのが個人情報・機密情報をそのまま入力しないことです。
大学や職場のアンケートには、回答者が意図せず個人名、学籍番号、部署名、教員名、具体的な相談内容などを書いている場合があります。そのままAIに貼り付けると、情報管理上のリスクになります。
AIに入力する前に、以下のような情報が含まれていないか確認しましょう。
- 氏名、学籍番号、職員番号、メールアドレス、電話番号
- 特定の学生・教職員・部署が識別できる記述
- 成績、相談内容、健康状態、家庭状況などのセンシティブな情報
- 未公開の学内方針、会議内容、予算、契約情報
必要に応じて、次のように置き換えてからAIに渡します。
| 元の記述例 | AIに渡す前の置き換え例 |
|---|---|
| 山田太郎さんの対応が丁寧だった | 【職員A】の対応が丁寧だった |
| 文学部の〇〇先生の説明がわかりにくかった | 【学部A】の【教員A】の説明がわかりにくかった |
| 学籍番号20XX-999の学生から相談があった | 【学生ID】の学生から相談があった |
| 来年度の未公開方針について不安がある | 【未公開情報】について不安がある |
実務上の注意
個人情報や機密情報を含むアンケートを扱う場合は、所属先のルールを必ず確認してください。職場で認められたAI環境がある場合は、個人アカウントではなく、所属先が許可している環境を使うのが安全です。
👉 AI利用時のセキュリティについて詳しく読む:

AIを使ったアンケート自由記述の分析手順
AIを活用することで、「データ整理」→「感情分類」→「課題の特定」→「改善策の提案」までを効率化できます。
STEP 1:自由記述データを整理する
いきなりAIに全データを貼り付けるのではなく、まずはExcelやGoogleスプレッドシート上で分析しやすい形に整えます。
- 自由記述欄だけを抜き出す
- 空欄・「特になし」などの回答を分ける
- 個人情報・機密情報を削除または置き換える
- 回答番号を付けて、後から元データを確認できるようにする
- 件数が多い場合は、100〜200件程度に分けて分析する
特に回答番号を付けておくと、AIが出した代表意見や分類結果を後から確認しやすくなります。
STEP 2:感情分類で「全体の傾向」を可視化する
次に、全回答を「ポジティブ」「ネガティブ」「中立」に分類し、件数を可視化します。
| 感情分類 | 職員が得られる情報 |
|---|---|
| ネガティブ | 不満・問題点を含む意見を抽出し、対策すべき項目を把握できる |
| ポジティブ | 高評価されている点・継続すべき施策の根拠を確認できる |
| 中立 | 具体的な意見ではない記述や事実のみの回答を分けられる |
「不満が多い」という漠然とした印象ではなく、「ネガティブが34%、その中でも運営・施設への不満が多い」というように、数字で示しやすくなります。
STEP 3:カテゴリ分類で「具体的な課題」を特定する
感情分類で「ネガティブ」と判断された回答や、改善提案を含む回答に対して、頻出するキーワードやテーマをAIに抽出させます。
例)オープンキャンパスのアンケートの場合:
「模擬授業」「食堂の混雑」「受付の案内」「キャンパスツアーのガイド」「Webでの事前案内」
これにより、「漠然と不満が多い」だけでなく、「食堂の混雑と受付の案内に具体的な不満が集中している」と、対策すべき対象が明確になります。
STEP 4:改善策・報告書案に落とし込む
最後に、分類結果をもとに、報告書や次回施策に使える形へ整理します。
- 全体傾向を1〜2文で要約する
- 改善すべき課題を優先度順に並べる
- 代表的な意見を引用する
- 次回に向けた具体的な改善策を提案する
- 対応が難しい意見と、すぐ対応できる意見を分ける
AIに分類させるだけで終わらせず、職員が見て「次に何を改善すべきか」がわかる状態にすることが大切です。
【コピペOK】AIに分析させるプロンプト例
Excelやスプレッドシートにインポートしたアンケートデータを整理したうえで、以下のプロンプトを使ってみてください。
▼ 汎用プロンプト(そのままコピーして使えます)
あなたは事務職の業務改善担当者です。
以下のアンケートの自由記述欄を分析してください。
目的は、次回に向けた具体的な改善施策を立てるための課題抽出です。
【前提】
・個人情報や機密情報は削除または置き換え済みです。
・回答番号は、後から元データを確認するために残しています。
・AIの分析結果は最終判断ではなく、担当者が確認して使います。
【分析手順】
1. 全ての記述を「ポジティブ」「ネガティブ」「中立」に分類し、それぞれの件数と割合を計算してください。
2. ネガティブな意見と改善提案を含む意見を中心に、内容を5つ程度のカテゴリに分類してください。
3. 各カテゴリについて、代表的な意見を3つずつ抜粋してください。
4. 件数が少なくても、緊急性・重要性が高い意見があれば別枠で示してください。
5. この分析結果をもとに、最も優先して対策すべき課題を3つ提案してください。
6. 最後に、報告書にそのまま使える300字程度の要約文を作成してください。
【出力形式】
・感情分類の集計表
・カテゴリ別の課題整理表
・代表的な意見
・優先対応すべき課題TOP3
・報告書用の要約文
【アンケートデータ】
(ここにデータを貼り付ける)
💡 「あなたは〇〇部署の担当者です」という役割設定を追加すると、より業務に即した分析結果が得られます。
例:「あなたは大学の学生支援課の職員です」「あなたはオープンキャンパスの運営担当です」「あなたは研修企画担当です」など
AI分析結果の活用例
上記のプロンプトを使うと、以下のような形式で結果を整理できます。
▼ AI分析結果の例(850件のアンケートを分析した場合)
1. 感情分類の結果
| 分類 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| ポジティブ | 410件 | 48.2% |
| ネガティブ | 295件 | 34.7% |
| 中立 | 145件 | 17.1% |
2. ネガティブ意見の詳細分析(カテゴリ別)
| カテゴリ | 代表的な意見 | 対策すべきキーワード |
|---|---|---|
| プログラム内容 | 「模擬授業が専門的すぎた」「学部説明の時間が短い」 | 模擬授業の難易度、説明時間 |
| 運営・スタッフ | 「受付が混雑して開始まで時間がかかった」「案内が場所によって違う」 | 受付の混雑緩和、スタッフ連携 |
| 施設・設備 | 「食堂が満席で昼食をとれなかった」「休憩スペースが少ない」 | 食堂のキャパシティ、休憩所確保 |
| 情報提供 | 「Webで見つけにくかった」「当日の資料と事前資料が違った」 | Web導線、資料の整合性 |
| アクセス | 「駅から迷った」「駐車場が満車だった」 | 案内看板、駐車場対応 |
3. 優先対応すべき課題TOP3
- 受付・誘導の混雑緩和(運営・スタッフへの不満が件数・深刻度ともに多い)
- 食堂・休憩スペースの確保(施設不満の中でも当日体験に直結)
- 事前情報とのギャップ解消(期待値とのずれが全体満足度を下げている)
4. 報告書用の要約文の例
今回のアンケートでは、全体としてポジティブな回答が約半数を占めた一方で、受付・誘導、食堂・休憩スペース、事前情報のわかりやすさに関する改善要望が多く見られました。特に受付の混雑や案内のばらつきは、参加者の満足度に直接影響している可能性があります。次回は、受付導線の見直し、休憩スペースの確保、事前案内ページの改善を優先的に検討する必要があります。
AIの分析結果をそのまま使わないための確認ポイント
AIの分析は便利ですが、出力結果をそのまま報告書や会議資料に使うのはおすすめしません。最終的には、人が確認してから使うことが大切です。
特に以下の点は確認しましょう。
- 代表的な意見が本当に元データにあるか
AIが要約した文章だけでなく、実際の回答番号や元データを確認する。 - ネガティブ分類が妥当か
皮肉、遠回しな表現、複数の意見が混ざった回答は、AIが誤分類することがある。 - 少数意見を見落としていないか
件数は少なくても、安全性・差別・ハラスメント・合理的配慮などに関する意見は重要度が高い場合がある。 - 改善策が現実的か
AIが提案した改善策は、予算・人員・学内ルールに照らして実行可能か確認する。 - 報告書に載せてよい表現か
個人や特定部署が識別される表現が残っていないか確認する。
ポイント
AIは「読む量を減らす」「分類のたたき台を作る」ための補助として使うのが現実的です。最終的な判断や報告書への反映は、人が確認して行いましょう。
アンケート分析を報告書・改善策につなげるコツ
自由記述の分析は、分類して終わりではありません。大切なのは、分析結果を次の改善につなげることです。
報告書にまとめるときは、以下の流れにすると伝わりやすくなります。
| 報告書の項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 全体傾向 | ポジティブ・ネガティブ・中立の割合、全体として多かった意見 |
| 主な課題 | カテゴリ別に多かった不満・改善要望 |
| 代表的な意見 | 個人が特定されない形で、象徴的な意見を抜粋 |
| 優先対応 | すぐ対応できるもの、中長期で検討するものを分ける |
| 次回施策 | 次回のイベント・業務改善で実施する具体策 |
たとえば、「受付が混雑していた」という意見が多い場合でも、改善策は一つではありません。
- 受付開始時間を早める
- 学部別・時間帯別に受付を分ける
- 事前QRコード受付を導入する
- 誘導スタッフの配置を増やす
- 事前案内メールで来場時間を分散させる
AIに「改善策を出して」と依頼するだけでなく、現場の制約に合わせて取捨選択することが重要です。
まとめ
AIを使ったアンケート分析の手順をまとめます。
| ステップ | やること |
|---|---|
| STEP 1 | 自由記述データを整理し、個人情報・機密情報を削除または置き換える |
| STEP 2 | 全回答を感情分類(ポジティブ・ネガティブ・中立)して件数を可視化する |
| STEP 3 | カテゴリ分類で頻出テーマや具体的な課題を整理する |
| STEP 4 | 結果を報告書・次回施策の根拠として活用する |
手作業では時間がかかっていた自由記述の分析も、AIを使えば分類や要約の負担を大きく減らせます。
「ざっと見て終わる」から「根拠のある改善策を提案する」へ、アンケートの活用レベルを高めることができます。
一方で、アンケートには個人情報や機密情報が含まれることもあります。AIに貼り付ける前の確認、出力結果の人によるチェック、所属先ルールの確認は必ず行いましょう。
まずは、個人情報を含まない少量の自由記述データから試してみるのがおすすめです。慣れてきたら、イベントアンケート、研修アンケート、学生向けアンケートなど、日常業務の改善に少しずつ活用してみてください。
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