【自由記述の回答も簡単に分類!】大学職員によるAIを使った最速アンケート分析術

目次

はじめに

受験生や学生、保護者へのアンケート、授業評価、オープンキャンパスの感想、研修の感想など…。

大学職員や事務職の皆様は、Googleフォームなど様々なツールを使ってアンケートをとる機会も多いのではないでしょうか?せっかく取ったアンケートは次の施策に向けて有効に活かしたいですよね。

おそらく多くの方は、集まったアンケートを集計して、人数や割合を出しているのではないでしょうか。選択式の設問についてはExcelやスプレッドシートなどを用いて、簡単に集計をしているかと思います。

しかし、自由記述の回答はどうでしょうか?

「今回のオープンキャンパスの感想を教えてください。」 「キャリア支援について、ご意見やご要望があればご記入ください。」

ズラリと並んだ数百〜数千件のテキスト回答を前に、「ざっと目を通して、大体の傾向をつかんでおこう」「とりあえず部署内で共有しておこう」で終わってしまっていませんか?

そうすると、印象的な回答だけが目についてしまい、せっかく集めた貴重な「生の声」を活かせず、正確な課題発見にはつながりません。

しかし、今やAIを使えば、この最も時間のかかる作業を瞬時に、かつ正確に処理できるようになりました。このAI分析術を身につければ、根拠に基づいた「次への改善策」をより簡単に発見できるようになりますよ。

課題:手作業による自由記述分析は圧倒的に非効率

なぜ、手作業の自由記述の分析は非効率なのでしょうか?

  • 時間的コストが膨大: 100件の回答を読むだけでも数時間。数千件になれば数日を要します。
  • 分類の曖昧さ: どの意見を「ネガティブ」とするか、どの意見をどのカテゴリに分類するか、担当者によってブレが生じやすい。
  • 重要な意見の見落とし: 回答数が少ないながらも、組織として対応すべき緊急性の高い意見や斬新な提案を見逃してしまうリスク。

結果として、「対応が遅れる」「的外れな改善策を立ててしまう」といった事態に陥りかねません。

AIを活用した「自由記述」自動分析ステップ

まず、AIを活用することで、自由記述から「本音」と「重要キーワード」を短時間で抽出できます。

STEP
感情分類で「不満の多さ」を可視化する

AIは、テキストの内容を分析し、「ポジティブ」「ネガティブ」「中立」といった感情を瞬時に分類できます。

感情AI分析の役割職員が得られるインサイト
ネガティブ不満や問題点を含む意見を確実に抽出。対策すべき優先項目を明確化。特に不満の多いカテゴリを特定できる。
ポジティブ高く評価されている点や、継続すべき施策の根拠を特定。施策の成功要因や強みとして報告書に記載できる。
中立具体的な意見ではない記述や、事実の記載のみのものを分離。無視してよい回答を明確にし、分析対象を絞り込む。
STEP
ステップ②:キーワード抽出で「具体的な課題」を特定する

感情分類で「ネガティブ」と判断された回答に対して、AIに頻出する具体的な単語やテーマを抽出させます。

(例)オープンキャンパスのアンケートの場合:

「模擬授業」「食堂の混雑」「受付の案内」「キャンパスツアーのガイド」

これにより、「漠然と不満が多い」だけでなく、「食堂の混雑と受付の案内に具体的な不満が集まっている」と、対策すべき具体的な対象が明確になります。

STEP
【コピペOK】AIに「不満と課題」を抽出させる効果的なプロンプト例

Excelやスプレッドシートにインポートした自由記述の列をAIに読み込ませ、以下のプロンプトを試してみてください。

あなたは大学の広報課職員です。以下のアンケートの自由記述欄を分析してください。
目的は、次年度の改善施策を立てるための具体的な課題抽出です。
まず、全ての記述を「ポジティブ」「ネガティブ」「中立」に分類し、それぞれの件数を計算してください。
ネガティブな意見のみに絞り、その内容を分析してください。 
ネガティブな意見を内容ごとに5つのカテゴリに分類し、それぞれのカテゴリの代表的な意見を3つずつ抜粋してください。 
最後に、この分析結果に基づき、最も優先して対策すべき課題を提案してください。

AIの回答が以下のように出てきます。

アンケート自由記述(総件数:850件)の分析結果は以下の通りです。

1. 感情分類の結果

  • ポジティブ: 410件 (48.2%)
  • ネガティブ: 295件 (34.7%)
  • 中立: 145件 (17.1%)

2. ネガティブ意見の詳細な分析

ネガティブ意見のカテゴリ代表的な意見(抜粋)対策すべきキーワード (各3つ)
プログラム内容「模擬授業が専門的すぎて難しかった」「学部説明の時間が短く、情報が足りない」「体験イベントの種類が少なかった」模擬授業の難易度、学部説明の時間、イベントの多様性
運営・スタッフ「受付が非常に混雑し、開始まで時間がかかった」「学生スタッフの案内が場所によって異なり混乱した」「個別相談の待ち時間が長すぎた」受付の混雑緩和、スタッフ間の情報共有、相談の待ち時間
施設・設備「食堂が満席で昼食をとれなかった」「キャンパスが広すぎて目的の建物に迷った」「休憩できるスペースが少なかった」食堂のキャパシティ、キャンパス内の誘導、休憩所の確保
情報提供・広報「大学のウェブサイトではこのイベントを見つけにくかった」「事前に配布された資料と当日のスケジュールが一部違った」「奨学金の説明が分かりにくかった」Webサイトの導線、資料の正確性、奨学金情報の明瞭化
アクセス・環境「最寄り駅からの案内看板が少なく迷った」「駐車場が満車で入れなかった」「キャンパス内のWi-Fiが繋がりにくかった」駅からの案内、駐車場、Wi-Fi環境

まとめ:AI分析でデータに基づいた改善をしましょう

上記のステップにもある通り、AIによる自由記述の「感情分析」と「キーワード抽出」は、職員の皆さんが「ざっと回答を見て終わってしまう」という課題を根本的に解決します。

AIに分析を任せるメリットは以下の通り。

  • 早い: 数時間かかるであろう作業が数分で完了。
  • 正確: 人の主観が入らない、公平な感情・カテゴリ分類。
  • 具体的: 対策すべき具体的な課題が明確になり、次への改善策を論理的に見つけやすくなる。

正確なデータに基づいて次への施策を検討することで、よりアンケートを有効に活用し、より良い改善をしていくことができるのではないでしょうか。まずはあなたの担当業務のアンケートで、このAI分析術を試してみてください。

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この記事を書いた人

20代後半・二児の父。文系の4年生大学を卒業後、民間企業を経て、都内の総合大学で事務職員として勤務中。AIを使用した業務効率化や実生活での活用について発信。事務職員(非エンジニア)目線で誰にでも再現できる活用法の発信を心がけていきます。

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