2025年9月30日、OpenAI社は同社の開発者向けイベントで、動画生成AIの次世代モデル「Sora 2」を正式に発表しました。
「Sora」とは、文章や画像をもとに、高品質な動画を自動で生成してくれるAIのことです。例えば、「猫が宇宙を散歩している」のような短い文章を入力するだけで、AIがその内容を理解し、まるで映画のワンシーンのようなリアルな動画や、アニメーションを作成してくれます。
専門的な映像制作の知識や高価な機材がなくても、誰もが頭の中のイメージを簡単に映像化できるツールとして、大きな注目を集めています。
初代Soraの登場から約1年、今回の発表では、単なる品質向上だけでなく、これまで技術的な課題とされてきた点を克服し、大きく進化しているようです。本記事では、2025年10月6日時点の最新情報をまとめて解説します。
発表された「Sora 2」の3つの特徴
物体同士の複雑な相互作用の表現
初代モデルで課題とされていた、物体同士の複雑な相互作用の表現が大幅に改善されました。公式デモでは、「砕け散るガラスの破片」「風に揺れる旗の布感」「水面に広がる波紋」などが、極めて自然な動きで描写されており、AI特有の不自然さが大幅に低減しています。
映像内における正確なテキスト描画
これまで動画生成AIが最も苦手としてきた、意味の通る文字の描写が「Sora 2」で正式にサポートされました。プロンプトで指示した特定の文字列を、違和感のないフォントとデザインで映像内に正確に描き出すことが可能です。特に英語の表現はかなりの精度で出るようになったようです。一方で日本語での表現も単語などはある程度出るようになってきたようですが、まだまだ発展の余地はありそうです。
長尺動画における一貫性の維持
一度に生成できる動画の長さが最大4分に延長されました。さらに、その4分間の映像内で、特定の登場人物の容姿や服装、背景の美術設定を維持し続ける「一貫性維持機能」が大幅に強化されています。これにより、連続したストーリーを持つショートフィルムなどの制作が現実的になりました。
スマートフォンアプリと新機能「Cameo」の提供
また、今回の大きな特徴として、iOSおよびAndroid向けのSora公式アプリが発表されました。一言でいうと、「TikTokのような感覚でAI生成動画を楽しめるSNSアプリ」となっており、これまでは主にパソコンのブラウザで利用されていましたが、より手軽にSoraの世界に触れられるようになりました。
主な特徴
- 視聴スタイル: TikTokのように、縦型の動画が次々と表示され、上下にスワイプして直感的に楽しめます。
- 動画の生成: アプリ内で簡単なテキスト(プロンプト)を入力するだけで、誰でも高品質な動画を生成できます。
- 共有と交流: 自分が作った動画を投稿したり、他のクリエイターの作品を観て楽しんだり、「いいね」やコメントで交流したりできます。
- リミックス機能: 他のユーザーが作った動画を元にして、新しい動画を創る「リミックス」機能も搭載されています。
まとめ:今後の動向について
ここまで、OpenAIによる「Sora2」および「Sora公式アプリ」について紹介をしてきました。
物理法則とテキストの理解、そして物語の一貫性という、これまでAIが越えられなかった壁を越えたことで、映像制作の可能性は大きく広がりました。特に、スマートフォンアプリと「Cameo」機能は、専門家だけでなく、私たちのような一般の利用者が映像制作を日常的に楽しむことができるようになりそうです。
一方で、日本のアニメ風などの精度が非常に高いことから、著作権の侵害などを懸念する声も出てきているようです。今後は権利保護と安全な利用に向けた取り組みもより注視していく必要がありそうですね。現時点ではあくまで趣味の範囲で利用するのが良いでしょう。日々アップデートを続けるAI業界ですので、これらの機能が仕事でも使える状況になることを期待しています。


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