はじめに
イベントが終わった後、申込一覧と受付一覧を突き合わせ、参加率や参加者の内訳をまとめる。大学の説明会やオープンキャンパスに限らず、研修やセミナーでもよく発生する作業です。
会社員や大学職員の方の中には、情報管理や契約などの都合で、利用できる生成AIがCopilotに限られているという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、他のAIとの比較ではなく無料のCopilotで、作業をどこまで任せられるかという視点で検証を行いました。
今回は、無料Copilotを使い、架空イベント(オープンキャンパスを想定)のCSVを照合・集計しました。照合とイベント後の集計をそれぞれ3回ずつ試しています。
回答は約15〜25秒で返ってきました。正しく処理できた回答もありましたが、照合では不一致の見落とし、集計では内訳や総人数の誤りがありました。
それを踏まえて、実際に使用した指示(プロンプト)と結果、人が確認するべきポイントを紹介していきます。
今回使った環境とデータ
| 項目 | 検証条件 |
|---|---|
| アカウント | 個人アカウント |
| プラン | 無料版 |
| 応答設定 | 自動モード |
| ファイル | 申込一覧300行、受付一覧280行のCSV |
| 列 | 申込ID・表示名・志望学部・学年 |
| 志望学部 | 法・経済・理工・情報 |
| 学年 | 1・2・3・その他 |
| 検証回数 | 照合3回、イベント後集計3回 |
データはすべて架空のものです。実在する参加者や情報は使っていません。
そもそもCopilotとは何か、利用する際のアカウントや契約の確認については、以下の記事をご覧ください。

申込一覧データと受付一覧データには、同じデータ内でIDが重複している行や、IDが空欄の行はありません。照合精度を確かめるため、両方のデータにある同一IDの一部で、表示名・志望学部・学年を変えています。
1.申込一覧と受付一覧を照合する
まず確認したのは、申込者のうち誰が受付済みか、申込一覧にない受付者がいるか、登録情報が食い違っていないかです。
基準にしたのは申込IDです。表示名に空白があるなどの違いを、勝手に同じ表記へ直さないよう指示しました。
ここはご自身の集計方法に合わせて指示内容は変更してください。
CSVを添付して照合を依頼する
2つのCSVを新しいチャットに添付します。CSVをExcelで開いて保存し直す場合は、IDの先頭ゼロが失われていないか注意してください。今回使った指示(プロンプト)は次のとおりです。
添付した2つのCSVは架空のイベントの申込一覧と受付一覧です。申込IDを基準に照合してください。
ルール:
・申込IDは5桁の文字列です。先頭の0を保持し、空欄IDを推測で補わないでください。
・表示名・志望学部・学年を使って別のIDを同一人物と判断しないでください。
・表示名・志望学部・学年は、空白を含め元の文字列を完全一致で比較してください。勝手に表記を修正しないでください。
・同じIDの受付行が複数ある場合も、重複を報告する前に削除しないでください。
・IDが空欄の行は照合対象から外し、別途報告してください。
次の順で結果を出してください。
1. ヘッダーを除く各ファイルの総行数、有効IDのユニーク数、空欄ID行数。
2. 申込一覧にあり受付一覧にないID(未受付)。
3. 受付一覧にあり申込一覧にないID(未登録)。
4. 各ファイル内で重複するIDと、その出現回数。
5. 両方に同じIDがあるが、表示名・志望学部・学年のいずれかが異なる箇所。ID・項目名・申込側の値・受付側の値を表にしてください。
6. 空欄IDの行について、ファイル名と元ファイルの行番号(ヘッダーを1行目とする)を示してください。
各結果の件数も示し、該当なしの場合は0件と書いてください。読み取れない部分がある場合は推測で埋めず、その旨を説明してください。未受付と未登録は毎回正解。ただし不一致を1件見落とした
回答を、元のCSVから別途計算した正解と照合しました。
| 確認項目 | 1回目 | 2回目 | 3回目 |
|---|---|---|---|
| 未受付30人 | 全ID一致 | 全ID一致 | 全ID一致 |
| 未登録10人 | 全ID一致 | 全ID一致 | 全ID一致 |
| 項目不一致16件 | 15件検出 | 16件検出 | 16件検出 |
| 誤検出 | なし | なし | なし |
| 回答時間 | 約10〜20秒 | 約20秒 | 約20秒 |
初回で見落としたのは、申込ID「00077」の志望学部です。申込一覧では「法」、受付一覧では「経済」でしたが、不一致の表に載っていませんでした。2回目と3回目は、この違いも抽出しています。
一方、「参加者038」と「参加者 038」のような表示名の空白差異は検出できました。IDを基準に照合した上で、登録情報の違いを整理する用途でも使用できそうですね。
2.イベント後の参加状況を集計する
次に、2つの一覧から次の3点を集計させました。
- 志望学部別の参加率
- 参加者の学年別人数
- 学年ごとの志望学部別人数
今回の正しい参加率は、申込者300人のうち270人が受付済みのため、90.0%です。受付一覧だけにある10人は「事前申込なしの当日参加者」として別に数え、参加率には含めません。
また、同じIDでも、2つの一覧で志望学部や学年が異なる人がいます。そのため、参加率は申込時点の志望学部、参加者の内訳は受付時点の学年と志望学部を使うよう指示しました。実務では、どちらの情報が正しいかを担当者が確認する必要があります。
集計に使った指示(プロンプト)
添付した申込一覧と受付一覧から、イベント後の集計をしてください。すべて架空データです。
【共通ルール】
・申込IDは先頭ゼロを保持した文字列として照合してください。
・受付一覧にあり申込一覧にないIDは、今回の検証では「事前申込なしの当日参加者」とします。
・志望学部・学年に不一致があっても、勝手に修正・統一しないでください。
・以下の集計ごとに指定した一覧の値を使用してください。
【1.志望学部別の事前申込者の参加率】
申込一覧の志望学部を使って、法・経済・理工・情報別に次を出してください。
・申込人数
・そのうち、申込IDが受付一覧にもある人数
・未受付人数
・参加率=受付済み人数÷申込人数×100
当日参加者は分母・分子に含めず、別途人数を示してください。全体の合計行も付けてください。
【2.参加者全体の学年構成】
当日参加者を含む受付一覧の全員を対象に、受付一覧の学年を使用してください。
学年「1・2・3・その他」別に人数と構成比を出し、合計行も付けてください。
構成比の分母は受付一覧の総人数としてください。
【3.学年別の志望学部人数】
当日参加者を含む受付一覧の全員を対象に、受付一覧の学年と志望学部を使用してください。
行を学年「1・2・3・その他」、列を志望学部「法・経済・理工・情報」とした人数のクロス集計表を作成してください。
各行・各列の合計と総合計も示してください。
【確認】
・割合は小数第1位まで表示してください。
・集計3の学年別合計が集計2の人数と一致するか確認してください。
・事前申込者の受付済み人数+当日参加者数が、受付一覧の総人数と一致するか確認してください。
・読み取れない部分があれば、推測せず説明してください。集計では、3回のうち2回に誤りがあった
| 確認項目 | 1回目 | 2回目 | 3回目 |
|---|---|---|---|
| 志望学部別の参加率 | 正解 | 経済・全体に誤り | 正解 |
| 受付総人数 | 280人:正解 | 278人:誤り | 280人:正解 |
| 学年構成 | 誤りあり | 誤りあり | 正解 |
| クロス集計の内訳16セル | 7セル正解 | 14セル正解 | 16セル正解 |
| 回答時間 | 約25秒 | 約20秒 | 約20秒 |
初回は総人数が280人で合っていましたが、内訳が違いました。
| 学年 | 初回の回答人数 | 正しい人数 |
|---|---|---|
| 1 | 72 | 72 |
| 2 | 71 | 72 |
| 3 | 68 | 66 |
| その他 | 69 | 70 |
| 合計 | 280 | 280 |
2回目は受付総人数が278人になり、事前申込者の参加率も正解の90.0%に対して89.3%となりました。
3回目はすべて正解でした。ただし、これは3回目なら正しくなるという意味ではありません。今回は同じデータでも結果に違いが出た、と受け止めています。
3.Copilotの集計結果を元データで確認する
回答を実際の報告に使う前に、少なくとも次の3点を元データで確認します。
- 申込一覧と受付一覧の総人数
- 未受付者と当日参加者のID
- 学年・志望学部ごとの人数
補足:Excelで確認する場合
CSVをExcelで開くときは、申込IDの先頭ゼロが消えていないかを最初に確認します。重複や空欄がある場合は、行数と人数が一致しないため、先に確認が必要です。
例えば、申込一覧を「申込」、受付一覧を「受付」というシートに置き、A列を申込IDとします。申込シートに次の式を入れると、そのIDが受付一覧に何回あるかを確認できます。
=COUNTIF(受付!$A$2:$A$281,A2)0なら未受付、1なら受付済み、2以上なら重複の確認対象です。式を申込一覧の最終行までコピーします。
受付シートのC列を志望学部、D列を学年とした場合、例えば「2年・経済」の人数は次のように確認できます。
=COUNTIFS(受付!$D$2:$D$281,"2",受付!$C$2:$C$281,"経済")正しい人数は17人ですが、Copilotの2回目の回答は16人でした。
関数の使い方はMicrosoft公式のCOUNTIFの説明とCOUNTIFSの説明でも確認できます。
全体を一覧で確認したい場合は、ピボットテーブルも使えます。行に学年、列に志望学部、値に申込IDの「個数」を設定します。
正しい内訳は次のとおりです。
| 学年\志望学部 | 法 | 経済 | 理工 | 情報 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 19 | 18 | 20 | 15 | 72 |
| 2 | 21 | 17 | 19 | 15 | 72 |
| 3 | 19 | 15 | 15 | 17 | 66 |
| その他 | 18 | 16 | 20 | 16 | 70 |
| 合計 | 77 | 66 | 74 | 63 | 280 |
関数やピボットテーブルに慣れていない場合でも、まず総人数だけは元の一覧と照らし合わせます。Copilotに「もう一度確認して」と頼むだけでは、同じ誤りを見抜けない可能性があります。
Copilotでデータの照合や集計を行ってみて
データの照合や集計の指示に対して、短時間で回答が返ってくる点は便利でした。確認したいポイントを文章で伝える必要があるため、細かな集計の仕方や自分が最終的にどのようにまとめたいのかを考えるきっかけにもなります。
一方、今回の検証では、Copilot上で見やすい表の作成や合計の確認結果まで行われているものの、間違えも多々見つかりました。ざっくり傾向を掴みたいような時は、短時間でまとめる事ができるので非常に便利ですが、正式な調査や正確性が問われる資料などを作る際には、出力内容をそのまま使用するのはオススメできません。
また、Excelで同じ集計を確認するのであれば、初めから関数やピボットテーブルを使う方が効率的なケースもあります。
Copilotを使用して照合や集計を行う際は、照合結果や集計表を素早く作る補助として使い、最終的な人数や不一致は元データで確認する、という使い方が現実的だと感じました。

