「大学事務はAIに奪われる」は本当か?10年後も必要とされる職員の条件

目次

はじめに

「AIが発達したら、事務職の仕事なんてなくなるんじゃないか?」

日々ものすごいスピードで進化する生成AIのニュースを見るたびに、そんな不安が頭をよぎることはありませんか? 特に専門職ではなく、いわゆる「事務職員」として大学に勤務している私たちにとって、これは死活問題です。

私の個人的な結論としては、大学事務職員という職業は無くなることはないと思います。しかし、母数は確実に減っていくでしょう。大学職員にありがちな、何も考えない「前例踏襲の繰り返し」を続けていれば、将来居場所がなくなる可能性は非常に高いです。

今回は、AI時代に大学職員が生き残るために「AIに代替される仕事」と、逆に「人間にしかできない仕事」について、現場目線で解説をしていきます。

当ブログは現役大学職員の私が、AIツール(Gemini, ChatGPTなど)を活用し、事務業務改善をするためのAI活用ブログです。私自身、文系大学卒の非エンジニアの事務職員なので、専門用語は避けて読者の皆さんが分かりやすく、すぐ使える情報をお届けできるよう心がけています。
プロフィールの詳細は、以下をご覧ください。

未来予測:AIに代替される業務は多い

厳しい現実ですが、現在私たちが時間をかけている業務の多くは、AIの方が得意です。 「奪われる」というよりも、「AIに任せないと仕事が回らなくなる」時代がすぐそこまで来ています。

すでにAIに単純作業をどんどん任せている人も一定数いる一方で、紙でメモを取り、手入力でwordやExcelに入力している人が多いのも事実です。まだ、AI黎明期ではありますが、使う人と使わない人の差は開いていくばかりです。

(私の主観も含まれていますが、)手作業を重視している方は、AIに処理させるより自分でやる方が早い。自分でやった方が間違えがない。と思っている方が多い印象です。業務歴が長くなればなるほど、これまでの習慣がついているためそのように考えるのも理解はできます。

ちょっとした会話のメモや数件のデータであれば、手作業の方が早く、私自身も手作業で処理する場面はあります。
しかし、会議や長時間にわたる打ち合わせ、数百〜数千件のデータを処理する場合はどうでしょうか。

1回限りのことであれば、手間は同じくらいかもしれませんが、会議も打ち合わせもデータ処理も繰り返し行われます。データが多くなれば手作業ではミスを起こしやすく、そこに多くの時間を取られてしまいます。そんな作業をAIに置き換えることで時間の削減に繋がり、あなたが本来注力しなければいけないことに取り組むことができるのです。

AIに代替される業務の具体例

1. 単純なデータ入力・チェック作業

入試データの照合、学籍情報の更新、経費精算のチェックなど。 「間違いがないように」と神経をすり減らしているこれらの作業はAIの得意分野です。 人間がダブルチェックをするよりも、AIに処理させた方が正確で圧倒的に早いです。同じ作業を繰り返す際は、毎回AIに質問するのではなく、以下のような方法がおすすめです。


①プロンプト(指示)を事前に登録しておく
→Google Geminiの「Gem」、Chat GPTの「GPT」、Microsoft 365 Copilot Chatの「エージェント」などで
「事前に指示内容を登録して毎回同じように回答してくれる」機能を使うことができます。
以下の記事では、Google Geminiの「Gem」の使い方を説明しておりますのでぜひご参照ください。

②Excelの関数やマクロ(複数の操作をまとめて必要に応じて呼び出せるようにする機能)をAIに作成してもらう
→毎回ワンクリックもしくはデータを更新するだけで、指定の形式でデータを作ることができるようになります。

2. 定型的なメール・文書作成

「お世話になっております」から始まる定型的な依頼メールや、前年度のものをコピペして日付だけ変えたような通知文。 これらはAIにキーワードをいくつか投げるだけで、数秒で完成します。 「文章をゼロから考える時間」は、今後大幅に短縮します。これも上記で紹介した「①プロンプト(指示)を事前に登録しておく」が非常に有効です。メールのルールを事前に登録しておくことでより精度の高いメール文面を作成することができます。

3. 日程調整

教員、関係部署、外部業者……。 全員の空き時間をカレンダーとにらめっこしながら探す作業。 これは高度なスキルではなく、単なるパズルです。AIが全員の予定をスキャンして最適な時間を提案してくれるようになります。現在どのようにスケジュールを管理しているかにもよりますが、自律的に動くAIエージェントなどを駆使すれば日程調整だけでなく、オンライン会議を設定し、関係者に会議のURLを送付するところまで自動化することも可能です。

AIにはできない「人間の仕事」とは?

ここまでAIが代替しやすいタスクをいくつか挙げてみましたが、やはり現状では全ての業務をAIが行うことは難しく、私たちにしかできない業務というのは多くあります。AIは今後さらに進化していくことが予想されますが、正解のない業務や、感情が伴う行動、また最終的な意思決定などは今後も人間の方が優位であると考えられます。そのため、私たち大学職員には以下のようなスキルが今後より求められるでしょう。

1. 調整力

データ上の「日程」はAIが調整できますが、感情や繋がりの調整は人間にしかできません。
大学や学校法人は会社とは異なり、独特な組織で特有のルールがあることも多く、私自身も一職員として苦労しています。(笑)

  • 「この先生は今忙しいから、この案件は来週に持ち越した方が機嫌よく承認してくれそうだ」
  • 「学生課と教務課での意見対立を避けるために、事前に根回しをしておこう」

こうした空気を読み、相手の顔色を伺いながら進める「調整力」は、AIにはマネできないスキルです。
個人的には、AIが日程だけの条件でさっぱりと決めてしまう方が良いかなと思う事もありますが、気難しい人(特に大学では)は一定数いるかと思いますので、その辺をうまいこと調整するというスキルは一つ武器になりますよね。

2. 意思決定

AIは「頼まれたこと」を実行するのは得意ですが、現時点では「何が問題で、何をすべきか」を自ら企画するのは苦手です。自律的に行動するAIエージェントも日々進化をしていますが、やはり人間による指示のもと行動しますので、計画の始まりと最終決定は人間が行うことになります。

  • 「今年のオープンキャンパスは、オンラインと対面のハイブリッドにするべきか?」
    →それぞれのメリット・デメリットや事例を調べて報告はできますが、最終決定はできません。
  • 「学生の満足度を上げるために、どのシステムを導入すべきか?」
    →複数のシステムを比較し、特徴やおすすめを紹介することはできますが、最終決定は人間が行います。

AIは決定の前段階までは効果的に機能しますが、最終的な「責任」を伴う意思決定は、人間にしかできません。

AIとどう向き合うべきか

ここまで書いたように多くの業務がAIに代替され、大学職員の数は減少していくことが予想されます。そんな中で上記で述べたようなAIにはできない「人間の仕事」の部分を伸ばしていくという事も重要ですが、もう一方で「AIをどう使いこなすか」ということが非常に重要になります。

職員の人数減に比例して業務が減るかというと、残念ながらそうはいきません。少ない職員でより多くの業務をこなしていかなければならない中で、AIを仕事を奪うライバルとして捉えるのではなく、あなたの専属アシスタントとして活かすことが重要です。

ここまで紹介してきたような時間のかかる処理業務はAIに任せて、あなたはAIが作成した資料を確認・調整し、必要な部署や人へ提供する。そこで空いた時間を、AIにはできない仕事の時間にあてる。これまでの実務担当のマインドからマネジメントする側へとマインドを変えることが、これからの生存戦略です。

少子化の影響で一部のトップ大学を除いた多くの大学は学生数が減っていき、それに伴い職員数は減少していく可能性が非常に高いです。時間だけがかかる単純な作業は今から少しずつAIにシフトしていきましょう。

まとめ

ここまで大学事務職員がどのようにAIと向き合うことで、必要な人材であり続けられるかについて話してきましたが、いかがでしたか?AIはここからさらに進化していくことが予想されます。業務の内容問わずAIをいかに使いこなせるかは今後さらに重要になっていきます。

AIに持っているイメージは人それぞれあるかと思いますが、まずは使ってみましょう。今ご自身がやっている業務がAIに置き換えられるか、どのように使えばより効率的に仕事ができるか、ぜひAIに聞いてみてください。何事もそうですが数をこなすことが結果的には一番の近道です。(ご自身がすでにできる事も含めて)一旦タスクを課してみることで、AIにできること・できないこと、ここまでは任せられるけど、ここからは自分でやった方が良いなど自分の仕事にうまく取り込んでいくことができるようになるはずです。

大学という組織は、変化するのに時間がかかります。 少しAIが使えるだけで自身の仕事の負担は軽減し、周りからもAIが使える人材として評価されるのではないでしょうか。あなたの大学職員としてのキャリアがより良いものになるようにこれからも発信を続けていきます。

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この記事を書いた人

20代後半・二児の父。文系の4年生大学を卒業後、民間企業を経て、都内の総合大学で事務職員として勤務中。AIを使用した業務効率化や実生活での活用について発信。事務職員(非エンジニア)目線で誰にでも再現できる活用法の発信を心がけていきます。

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