はじめに
規程や業務マニュアルを改訂するときは、担当者名や日付だけでなく、申請期限、例外条件、承認者、保存期間など細かな点も確認する必要があります。新旧の文書を目で見比べると、細かな条件の変更を見落としそうになることもありますよね。
そこで今回は、Copilot Chatに架空の業務マニュアル2版を添付し、変更点をどこまで正確に整理できるか検証しました。
今回の短い文書では、事前に用意した正解表の変更11項目をすべて検出し、見落としと誤検出はありませんでした。変更していない重要事項や、原文だけでは判断できない事項も分けて整理できています。
一方で、今回は2ページの文書1組を1回比較した結果です。Copilotが作った一覧を最終結果にするのではなく、人の目で見たものと照らし合わせることでよりミスが少なくなると思います。
CopilotでWord文書を比較した条件
| 項目 | 検証条件 |
|---|---|
| 使用サービス | Copilot Chat(職場・法人アカウントの無料版) |
| 応答設定 | 自動 |
| 検証日 | 2026年9月24日 |
| 回答時間 | 約15秒 |
| ファイル | Word文書(DOCX)2点 |
| 文書の長さ | 旧版・新版ともに2ページ |
| 検証回数 | 1回 |
使用したのは、架空の「学内研修申込受付業務マニュアル」第1.0版と第2.0版です。実在する大学、職員、研修の情報は含まれていません。
旧版から新版へ、発行日、担当者、申込方法、申込期限、定員、キャンセル方法、記録の保存条件などを変更しました。Copilotには正解表を渡さず、2つの文書だけを添付しています。

Copilotの種類や利用できる場所は、アカウントや契約状況によって異なります。利用環境の違いは、以下の記事で整理しています。

実際に使った指示
2つのWordファイルを新しいチャットに添付し、次のように指示しました。
添付した2つの「学内研修申込受付業務マニュアル」を比較してください。
第1.0版を旧版、第2.0版を新版として、内容上の変更点を漏れなく抽出してください。単なる言い換えや書式差ではなく、業務上の判断や作業に影響する差を優先してください。
次の列を持つ表で回答してください。
1. 番号
2. 該当箇所
3. 旧版の内容
4. 新版の内容
5. 実務への影響
6. 旧版と新版の根拠箇所
最後に、変更されていない重要事項と、原文だけでは判断できない事項があれば分けて示してください。原文にない内容は推測せず、不明と記載してください。単なる文字の違いではなく、業務上の判断や作業に影響する差を優先するよう指定しました。また、変更点だけでなく、変更していない重要事項と、原文だけでは判断できない事項も分けています。
比較結果|変更11項目をすべて検出
| 評価項目 | 結果 |
|---|---|
| 実質的な変更 | 10件中10件を検出 |
| 補助的な変更 | 1件中1件を検出 |
| 見落とし | 0件 |
| 誤検出 | 0件 |
| 変更していない重要事項 | 正解表の3項目をすべて確認 |
| 原文だけでは判断できない事項 | 推測せず「不明」と整理 |
| 根拠 | 旧版・新版の章番号を記載 |
Copilotの回答では、変更点が14行に整理されました。正解表では一つにまとめていた複合的な変更を、Copilotが細かく分けたためです。
例えば、正解表では「定員30名から24名へ変更し、6名までのキャンセル待ちを追加」を一つの変更としていました。Copilotは、定員の変更とキャンセル待ちの追加を別々の行に分けています。キャンセル方法と代理参加、保存対象・保存場所・保存期間も同様に分けており、誤った水増しではありません。
日付・担当者・承認経路の変更
発行日は2026年4月1日から9月20日へ、適用開始日は4月1日から10月1日へ変えています。受付担当は「研修受付担当」から「研修運営担当」へ、承認担当は「人材開発室長」から「人事部長」へ変更しました。
Copilotはこれらを検出し、新版をいつから適用するか、問い合わせ先や決裁経路にどのような影響があるかも整理しました。
申込方法・期限・オンライン参加条件の変更
申込方法はメール添付から職員ポータルのフォームへ変更し、期限も「5開庁日前17時」から「3開庁日前正午」へ変更しました。さらに、所属長の承認と定員の空きがあれば、期限後も受け付ける例外を加えています。
Copilotは日時の違いだけでなく、期限後受付の条件も抽出しました。新版で追加したオンライン参加の条件も見落としていません。
定員・キャンセル・記録保存の変更
定員は30名から24名へ減らし、6名までのキャンセル待ちを追加しました。キャンセル期限と手段、代理参加の条件、記録の保存対象・保存場所・保存期間、問い合わせ方法も変えています。
これらもすべて検出されました。特に、保存に関する変更を「対象」「場所」「期間」に分けたことで、担当者が確認しやすい一覧になっています。
変更していない事項と「不明」も分けられた
変更点だけを抽出すると、旧版から継続するルールが分かりにくくなることがあります。今回の指示では、変更していない重要事項も最後に示すよう求めました。
- 対象者と適用除外
- 受付時の確認項目と不備時の差し戻し
- 承認結果を通知する時期
これらは正解表で変更なしとしていた内容と一致しています。
また、申込方法や定員を変更した理由、所属長承認の具体的な取得方法、キャンセル待ちの回答期限、研修管理システムの名称などは、原文だけでは判断できません。Copilotは推測で補わず、「不明」と整理しました。

Copilotの回答をそのまま確定版にしない方がよい理由
「実務への影響」にはCopilotの解釈が含まれる
旧版と新版の記載内容は原文で確認できますが、「承認ルートの見直しが必要」「管理方法が変わる」といった実務への影響には、Copilotの解釈が含まれます。
担当部署の正式な運用や、例外を誰がどのように承認するかは、文書の作成者や担当者へ確認する必要があります。
根拠は章単位で、ページ番号や原文引用はなかった
今回の回答には「旧版3.1申込方法/新版3.1申込方法」のように、根拠となる章が示されました。2ページの短い文書では探しやすいものの、数十ページある規程や手順書では、ページ番号と該当文の引用も求めた方が確認しやすくなります。
今回は短い文書1組・1回の検証
今回の条件では全項目を検出できましたが、表が多い文書、脚注や別紙を含む文書、数十ページの規程でも同じ結果になるとは限りません。
別の検証では、CopilotにCSVの照合と集計を3回依頼したところ、不一致の見落としや人数の誤りが発生しました。回答が見やすく整理されていても、元データとの確認は必要です。

事務職の方が使うときの確認手順
- ファイル名に版番号または日付を入れる
- どちらが旧版・新版か明記する
- 旧版・新版・実務への影響・根拠を分けた表を指定する
- 変更していない事項と、原文だけでは判断できない事項も出させる
- 期限、金額、対象者、承認者、例外条件、保存期間を原文で確認する
- 機密情報や個人情報は、所属組織のルールと利用環境を確認してから扱う
大学事務では、学内規程、申請手順、研修案内、委員会資料などの改訂確認に応用できます。民間企業の総務、人事、経理でも、社内手順書や申請マニュアルを見比べるときに使える方法です。
検証に使用した架空マニュアル
今回の検証で使用した架空の業務マニュアルを配布します。実在する大学や業務の情報は含まれていません。Copilotなどへ添付し、同じ指示で比較を試すためのサンプルとして利用できます。
実際の業務文書を外部サービスへ添付する前に、所属組織の生成AI利用ルール、契約内容、取り扱える情報の範囲を確認してください。
まとめ|変更点一覧のたたき台として使う
- 今回の短い架空文書では、変更11項目をすべて検出した
- 見落としと誤検出はなく、変更していない事項も確認できた
- 原文だけでは判断できない事項は、推測せず「不明」と整理された
- 実務への影響にはCopilotの解釈が含まれるため、人による確認が必要
- 長い文書では、ページ番号と原文引用も出すよう指示すると確認しやすい
Copilotに新旧文書を比較させると、確認すべき箇所を短時間で一覧にできます。最終判断を任せるのではなく、人が原文を確認するためのチェックリストを作る使い方が現実的です。
Copilot以外を含め、事務業務でのAIの使い方をまとめて確認したい方は、以下の記事もご覧ください。


